タダで不動産が手に入る「0円物件」とは? 空き家問題の有力対策

REINAの「マネーのとびら」(日経電子版マネーのまなび)

Sep 21 2022 • 22 mins

日経電子版「マネーのまなび」のPodcastです。アメリカ出身タレントのREINAさんがリスナーと一緒にお金のイロハを学んでいきます。解説は日経マネー発行人の大口克人です。

今回のテーマは「不動産の0円物件」です。まず、0円物件とは一体なんでしょうか。6月の首都圏の新築マンションの平均価格は6450万円で、東京23区に限れば8000万円を超えるという話もあるのに、0円で家や土地が手に入ると言われても信じがたい気がするでしょう。しかしこれは本当の話で、例えば相模原市のセイユーコミュニティーという不動産会社が、YouTubeや同社サイトに多くの0円物件の例を上げて紹介しています。抽選に応募して当たれば、土地付きの家屋や宅地、山林などが0円で自分の物になります(所有権移転登記の費用や修繕費、税金などは別途かかる)。

この背景にあるのが空き家・空き地、特に「相続空き家」の問題です。親が亡くなって実家を相続したが、自分は都会に家があるので住めない。処分したいが地方の不動産市場は冷えきっていて売るに売れず、やむなく空き家のまま放置……という問題です。この結果日本の空き家率は13.6%で、全体のおよそ7戸に1戸が空き家という状況になっています。空き家を放置すると火災など様々なリスクを抱えることになり、自治体に「危険な空き家だ」と認定されれば固定資産税が上がったり、罰金を取られたりもします。来年4月27日からは「相続土地国庫帰属制度」がスタートし、不要な土地を国に引き取ってもらうことも可能になりますが、これも意外に条件が厳しく、10年分の土地管理費を納める必要もあります。

そこでこの問題の解決策の一つとして出てきたのが「無償譲渡」、すなわち0円物件というわけです。もちろん、元の持ち主が何らかの負担に耐えかねて手放す物件なので、利便性の高い場所や新しい物件ではありません。しかし実際には多くの人の申し込みがあり、当たった人は退職後の地方移住や家庭菜園、DIY、アウトドア活動などに活用しているようです。つまり持っていても損になる「負」動産が、うまくマッチングできれば何らかの価値を生み出す「富」動産に変わるのです。番組ではこの0円物件の仕組みや問題点などについて、詳しく解説しました。

後半の人気コーナー「American Money Life」のテーマは「趣味にかけるお金」です。これは日米の違いというより、人やライフスタイルによる違いが大きいでしょう。また最近は単にお金を費やすだけでなく、趣味を生かした副業で収入を得る人もいます。せっけん作りが趣味というREINAさんの友人も、作ったせっけんをネットで売ってビジネスにしているとのことでした。一方、総務省の「家計調査年報」には勤労者の2人以上世帯が「教養・娯楽費」と「交際費」の合計で月に4万9350円支出しているという数字もあり、結構多い気がするがこれをどう見るか、といった話で盛り上がりました。